トリプルネガティブ乳がんとは

エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、HER2の3つの要素と関係せずに発症し、増殖するのがトリプルネガティブ乳がんです。予後が悪いことで知られています。

エストロゲン受容体とはコレステロールから合成されるステロイドホルモンで、女性ホルモンとや卵胞ホルモンと呼ばれています。プロゲステロン受容体もステロイドホルモンであり、黄体ホルモンと呼ばれます。HER2は細胞の増殖や分化に関与しており、代表的な癌遺伝子とされています。

なお、トリプルネガティブは乳がん全体のおよそ2割を占めています。したがって、それほど特殊なものではないのです。

トリプルネガティブの場合には、一般に発症のメカニズムと関係している女性ホルモンのエストロゲン受容体やプロゲステロン受容体、さらに癌遺伝子であるHER2と無関係であることから、これらの働きを妨げることによって治療を行うことはできません。具体的には、受容体を標的とするハーセプチンやタモキシフェンといった薬剤は使えないのです。

トリプルネガティブにおいては増殖因子について詳しい情報が解明されていません。複数のタイプが存在していると推定されているものの、現在も研究の段階にとどまっているのです。

たとえトリプルネガティブであっても、治療の方法がないわけではありません。抗がん剤による化学療法を行うことによって再発の防止につながることもあります。また、血管新生阻害剤であるアバスチンという薬剤が良好な実績を挙げていることがアメリカで報告されています。世界的に見ると、アバスチン以外にもキナーゼ阻害剤やパゾパニブといった薬についても研究が進められています。

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